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落ち着く所

 幕末維新を中心とした山口の書画にふれて頂く場―おおすみ歴史美術館のキャッチフレーズですが、来館者は中高年層が多く、若い世代の訪れが少ないのが悩みのタネです。
 そこで、従来の中学生以下無料を昨年から高校生以下に改めましたが、効果は今一つでした。
 さて、2月下旬のある日、珍しく朝から高校生同士、それに父兄と高校生のペアの来館が相次ぎました。国公立大学の入試の日とわかり、納得しましたが、熱心に見て回る生徒も居れば、展示室内のイスにじっと座ったままの高校生などさまざまです。
 高校生の来館は嬉しいのですが、人生を左右する大切な受験日です。学部学科によって、テストは午前中だったり、午後から始まったりするようですが、付き添いの父母はともかく、ミュージアムでひとときを過ごす受験生の心境は如何と、男子高校生の一人に尋ねると
「ボクは昼から数学1科目の受験です。ここへ来てよかった。心が安まりました。」とのこと。
 私はその2、3日前に来館した40年配の女性のことを思い出しました。この方は山口市内の大学で数日間、集中講義を行い、今から帰京する由。昨年も来館されたそそうで
「ここは本当に落ち着ける場所。書画だけでなく、小さな読書コーナーも魅力。4月にまた来ます」と話されました。
 受験の高校生の皆さんもこの女性と同じように当館が「落ち着ける所」だったのでしょう。ミュージアムとは何かという定義はともかく、おおすみ歴史美術館は心おだやかにひとときを過ごして頂ける所でありつづけたいと私は思います。

おおすみ歴史美術館・江戸康尹