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ルーツ(先祖)探し

おおすみ歴史美術館は小規模のミュージアムですが、展示の書画を見て頂くだけでなく、長州の歴史サロンとしてお役に立ちたいと願っています。そのため私もできるだけ来館者とふれあい、説明や歴史談義に努めたいと思っています。
夏場は卒業論文の準備を進める大学生、夏休みを利用して史跡や展示施設を回る高校・大学生の来館が目立ちました。
さて9月のある日、ルーツ探しといいますか、先祖や家系を調べている70歳くらいの年配のご夫婦が来館されました。
このご夫婦は東京在住の方で、ご主人の両親は共に山口県出身、宇部の母方のルーツはある程度わかっているが、父方は萩の武士の家柄と言う以外は不明で、今回調べに来られた由。湯田温泉のホテルにすでに5泊され、県文書館に通い、研究員の協力で古文書を調べてもらったところ、先祖の名が見つかったそうで大変喜んでおられました。
県文書館は毛利家文書の所蔵で有名ですが、市民の調査に協力を惜しまない姿勢はけっこうですね。
当館は幕末維新関係の展示に加え、図書コーナーとして、一般的な歴史の本や辞書を並べています。
私が「ご先祖と戊辰戦争のかかわりは」と尋ねますと「曾祖父は奇兵隊に居たらしい」とのこと。それならと、マツノ書店刊「定本 奇兵隊日記」全5巻(1991年刊)を見て頂きました。その本には人名索引の別巻がついており、大変便利です。
ほどなく、ご主人は曾祖父の名を見つけ、索引が示すページに当たると、その方の事績が少しわかりました。ご夫妻は思いもかけぬ発見に大喜びでした。
ご夫妻を見送りながら、さまざまの思いが去来しました。県文書館の存在のすばらしさ、奇兵隊日記の史料としての重要さ、また人名索引の大切さなどです。そしてなによりもご夫婦のルーツ探しの熱意にうたれました。

おおすみ歴史美術館・江戸康尹